ヒゲおじさんの独り言

保険はどう考えるべきか

 前にもお話したことがありますが、資産運用の世界においてリスクという言葉は単に“危険”ということではなく、「運用の結果、得られるであろう収益の幅がブレること」を意味しています。今回はこうした予想収益のブレということではなく、文字通りリスク=危険という観点から、人生における様々なリスクをカバーするための金融商品としての保険の活用ということについて考えてみたいと思います。最近、保険の専門家の方と一緒にセミナーをやる機会もありましたので、私なりの考えをお話させてください。

保険は宝くじと一緒

保険は宝くじ

誤解を恐れずに言えば、保険というのは宝くじのようなものです。「多くの人がお金を出し合い、当たった人に分配する」という意味においては、仕組み上の違いはありません。但し、宝くじというものが、「当たればうれしい!」のに対して保険の場合は、「当たる」ということ自体が「死亡」や「怪我」といった不幸である、という具合にその結果が正反対であるということです。言い換えれば、宝くじは夢を買うためにお金を使うのに対して、保険は将来の不幸に備えて、保険料を払うということなのです。

つまり保険は、1.滅多に起こることではない、2.でも起こると大変である 3.その場合は自分のお金で対応することはできない ということに対して備えるためのものですから、本来は掛け捨てにするのが当たり前のはずです。

ところが、日本では今まで多くの人が保険を貯蓄と誤解してきました。その結果、家計が苦しい中から毎月何万円ものお金を保険に回し、「これで安心」と思い込んできた人が多かったのではないでしょうか。でも将来に向けて資金を蓄えるのと、万が一のために備えるという行為は本来全く別物であり、前者が貯蓄、後者が保険のはずです。にもかかわらず、保険に何万円も掛けてきた人の多くは、何となく「掛け捨て」という言葉の響きがもったいないと感じるのではないかという気がします。ですから将来はいずれ戻ってくるし、その間万が一の時の安心をまかなえるのだから、たくさん保険に入って保険料を払っても良いのではないか、という具合に納得してきたのでしょう。

無駄な保険料が家計の最大の敵

保険

実は保険というのは、人生においては大変高い買い物なのです。仮に毎月4万円の保険料を30年間払い続けた場合、その合計額は1440万円にもなります。
この大きな買い物をあまりよく考えもせずに何となく続けているとしたら、これこそもったいないと言えるのではないでしょうか。現に、保険を見直すことで、生活にゆとりが生まれ、新たに貯蓄を始める余裕が出てくることもしばしばあります。

例えばもしあなたが50代だとします。子供さんも独立し、夫婦二人だけの生活だとすれば、あなたに万が一のことがあった場合でも保障額は、それほど多くは必要ないはずです。ところがまだ子供さんが小さかった時の保障額と同じだけの保険に入り、保険金を払い続けているのではありませんか?また、仮に子供さんが小さい時でも、一家の大黒柱に何かあった時には公的年金で「遺族年金」が支払われます。条件によっても違いますが、子供さんがいる場合は月額10万円以上支払われることも珍しくありません。そういうことも考えた上でどれくらいの保障が必要か?ということを考えて保険に入るべきなのではないでようか?

保険は“リスク”に対応するもので、「貯蓄」として利用してはいけない

 このように保険というものはあくまでもリスクをカバーするためのものですから、貯蓄性も併せ持った保険商品では、多くの場合、補償の分だけコストが高くなり、定期預金等、他の貯蓄手段と比較して、必ずしも有利になるとは限りません。そればかりか、短期間に解約すると、元本を割り込むというケースがほとんどです。必要なケースに応じて必要な保険に加入することで人生の様々なリスクに対応し、資産形成については、別途、貯蓄や投資を考えるべきでしょう。

私は保険自体、必要なものだと閑雅ていますが、大切なことは目的を取り違えないことだと思います。保険を貯蓄代わりに使うというのは、考え直した方が良いのではないでしょうか。