ヒゲおじさんの独り言

(4)仕事とお金は淋しがりや

仕事は忙しい人のところに集まってくる

多忙

会社の中で、よく言われるのが“重要な仕事は忙しい人に頼め”ということです。
忙しい人というのは、仕事の処理能力が高いから、色んな人から仕事を頼まれ、結果として忙しくなるわけで、ヒマな人に頼むと結局、能力が低いためにいつまでたっても仕事が出来上がらない、ということです。恐らくみなさんも経験のあることではないかと思います。私はこの現象を“仕事は淋しがりや”と呼んでいます。仕事は淋しがりやだから、集まっているところに行きたがる、ということからこう命名しているのですが、同じことは、実はお金に関しても言えることなのです。

お金というものは、ある程度のかたまりになってくると、後は自然と増えていくものだ、ということは、古今東西、財産をある程度築いた人は異口同音に言います。だから、お金も仕事同様、淋しがりやということが言えるわけです。「金持ちはますます金持ちになるけど、貧乏な人はいつまでたっても貧乏だ」と言われる所以です。
これは一見不思議な現象のように思えます。でも、忙しい人に仕事が集中するのは、その人の能力に対する評価の現れであって、不思議でも何でもないのと同様、お金に関してもよく考えてみれば、当たり前の理由があって、こうなるのです。
理由は大きくわけて四つあります。

行動経済学や心理学的にみると・・・

最初の理由は行動パターンともいうべきものですが、ある程度の元本まで貯めることができた人というのは、それなりに生活レベルや貯蓄計画等もスタイルが決まってきているので、特に無理をしなくてもそれまでのペースを続けていくだけで貯蓄額が膨れていくというサイクルに入っていくといわれます。したがって、貯蓄に対して一念発起した頃に比べると楽にお金が貯まりやすくなるという風になるようです。

ニつ目は、心理的な要因です。なかなか貯まらないうちは、あきらめて、すぐ使ってしまうということになりがちですが、ある程度まで貯まってくると、誰しも欲が出てきますから、無駄遣いは控えるようになり、目標に対してストイックになりがちだからです。
しかしながら、これらの理由は心理学や行動経済学でよく言われることですので、必ずしも万人に共通する普遍的な理屈ということではなく、人によっては効果が出ない場合もあります。ところが後の二つの理由は、極めて合理的なものです。

大化けする機会

マーケット

理由の三つ目は言うまでも無く複利による効果です。複利というのは、収益を元本に加え、それに対して更に利息をつけていくわけですから、元本がある程度になってくると、後は雪だるま式に増えるという特徴があります。初期の頃には残高が少ないため、増え方に時間がかかるのに対して、一定残高以上になってくると、増え方が加速します。

そして、最後の理由はハイリスク・ハイリターン商品への投資機会が生まれるということです。例えば資産の大部分を安全なものにした上で、ごく一部を極めてハイリスク・ハイリターンの商品で運用するという運用手法があります。仮にそれで失敗したとしてもその他の大部分から生まれる収益で損失をカバーすることが可能だからです。昔、ピーター・リンチという優秀なファンドマネージャーがファンドのごくわずかな部分を数十倍に大きく成長する株に投資することによってファンド全体のパフォーマンスを大きく向上させることができました。これも資金に余裕があればこそできることで、なけなしの運用資金では、とてもハイリスク・ハイリターン商品を購入することはできません。したがって、最初はコツコツと地道にお金のかたまりを作るしかないのですが、結果としてある程度資金が貯まってきた後は、積極投資で収益チャンスを得るという運用も可能になってくるわけで、利益を挙げるチャンスは広がると言ってよいでしょう。

要は、最初にある程度貯めるまでのプロセスが大変だということですから、まずは以前ご紹介した“給与天引”などの方法を使ってかたまりを作ることが大切ですね。

“なかなかお金って増えないよね”それはあなたが、お金を淋しがりやのままにしているからです。