ヒゲおじさんの独り言

分散投資の意味

3つの分散

分散投資

 以前、このコラムで“長期投資に対する誤解”というお話をした時に、分散投資と併せて考えることが大切だと言いました。同時に、でもウォーレン・バフェットは分散投資ではなく集中投資しているということもお話しました。そこで今日は分散投資とは何かについてお話したいと思います。

一口に分散投資と言いますが、一体何を分散するのか?まずこれを明確にしておく必要があります。私は大きく分けて3つあると考えます。「資産の分散」「銘柄の分散」そして「時間の分散」です。このうち私が最も必要だと思っているのは「資産の分散」です。これは恐らくバフェットも否定しないでしょう(笑)では、残りの二つの分散について考えてみます。

銘柄の分散

銘柄の分散

「銘柄の分散」これは例えば日本株の中で動きの異なる特性を持った銘柄を組み合わせることでリスク低減効果を生み出すことができるという考え方です。この考え方は間違ってはいませんが、でもこれって行き着くところはインデックスになるわけですよね。したがって、単一のアセットクラスでの分散投資というのはまあいわば「下手の考え休むに似たり」で単純にインデックスに投資をしておけばいいと言うことになります。ところがインデックスというのは市場全体に投資をするわけですから、良い株も悪い株もいわば一緒くたに投資することになります。

レオスキャピタルの藤野英人さんは「日経平均を捨ててこの株を買え」という本を著されていますが、インデックスに投資をするということは市場全体に投資をするということですから、良い株も悪い株も入ってきます。バフェットはそういう投資はしないわけです。市場の中から長期に成長が期待できる株が割安に放置されている時に買って長期に保有するという考え方ですから彼は自分が良いと思うものに集中投資します。コカコーラ、ウエルス・ファーゴ、IBM、アメリカン・エクスプレスの4銘柄だけでポートフォリオの50%を超えていると言われています。これはリスクを抑えるというよりも明らかにリターンを追求する方に重点を置いた考え方です。

時間の分散

時間分散

次に「時間の分散」です。これはいわゆるドルコスト平均法ですが、私はこの方法が万全だとは思っていません。トレンドが上昇基調であればBuy&Holdの方が高いリターンを産みます。ドルコスト平均法のような等金額投資は高い時には少ししか買わず、安い時にはたくさん買うことができるのでコストを下げると言いますが、上昇トレンドの始まりに一度に買っておくのが一番コストは安くなるのは言うまでもありません。
それでも時間分散がある程度有効だと考える理由は2つあります。1つめは「上昇トレンドの始まりに一度に買っておくのが一番コストが安い」と言いましたが、それが一体いつか?なかなかわかりにくいということ。そして2つめはマーケットのノイズに影響されないということです。どんな上昇相場の時でも必ず下落局面はあります。そういったマーケットの上昇下降というブレに全く影響されないだけの強い精神力を持つということはなかなか難しいので、等金額で投資を続けると言う時間分散=ドルコスト平均法は精神衛生上、とても有益です。山崎元さんが“ドルコスト平均法は気休め”というのはこのことだろうと思います。

最も大切な分散投資は?

さて、まとめたいと思いますが、私の考えでは単一のアセットクラス(資産)だけに投資をするというのは非常に大きなリスクだと思います。インデックス投資は優れた投資法ですが、日本株のインデックスしか持っていないというのは分散投資をしているようでいて実は全然分散にはなっていません。銘柄分散だけではリスクを抑えることは無理だし、高いリターンを追求することも難しいでしょう。バフェット流に成長株が市場の影響で下がって割安になっている時に集中投資するのが一番高いリターンを得る方法だと思っています。但し、リターンを追求すると同時にリスクも管理しなければいけません。時間分散では心の安心にはなっても本当の意味でのリスク低減に万全かと言うと必ずしもそうとは言えません。値動きの異なる複数の異なるアセットクラス(資産)を保有しておくこと(その場合に各アセットクラスはインデックスが良いと思います)が本当の意味での分散になるということなのです。でもいくら分散投資していてもリーマンショックの時には役に立たなかったじゃないか?そう、それはその通りです。でもだからといって分散投資が無意味というわけではありません。それについては次回にまたお話しましょう。