ヒゲおじさんの独り言

若い人はハイリスク・ハイリターン...?

運用するよりも働いた方がリターンは高い

働く

一般的に投資の教科書には、長期投資を行うことでリスクが平準化されるため、若い人は、できるだけ積極的にリスクを取っても、高いリターンを求めるべきだと書かれていることが多いものです。金融機関の講演会などでもそのように言われることが多いようです。

果たしてこれは正しいのでしょうか?
たしかに運用期間が長ければ、失敗しても取り返すことができるという側面が無いわけではありません。でも失敗を繰り返せば、長かろうが短かろうが関係ありません(笑)。

それに多くの若い人は普通はまだそんなにお金を持っているわけではありません。少ない資金でどんなに高リターンの運用をしたとしても元が少ないのですから結果はしれています。若い人が少ない資金で大変な神経を使いながら売買して得られるリターンなどよりも、まじめに働いて仕事のスキルを高め、昇格や昇給によって得られるリターンの方が比べ物にならないぐらい大きいはずです。運用などに熱中している暇があるなら、自分の仕事にまじめにもっと力を入れたほうがはるかに得るものは大きいに違いありません。

収入がなくなる不安

不安

一方、50歳以上の人の場合は、それなりに金融資産の蓄積もありますから運用の結果、得られるリターンの絶対額は大きいものになります。ところが、定年近くになってくると、それまで安定して毎月入っていた収入がなくなってしまうわけですから、この不安感は大きいと思います。この不安は実際に経験した人でないとわからないでしょう。(私も経験しています)したがって、本当に資産運用をまじめに考えるべきなのは、リタイアメントが近づく50代後半からではないかと思います。自分が働けなくなる分、お金に働いてもらわないといけないというわけですね。

定年後は収入が年金しかなくなるわけですから、それまでに蓄えたお金を上手に活用することでプラスアルファのリターンを出していくことがとても大切になってくるわけです。若い人は頑張れば昇給・昇格で収入が増える可能性はありますから、将来インフレになってもそれほど不安はありませんが、退職した人はそれまでに蓄えた資産でいかに購買力を維持するかを真剣に考えていく必要があるのです。

 事実、私が携わってきた「確定拠出年金」においても、若い年齢層の方は定期預金などの保守的な運用が多く、50代の方が投資信託などの比較的リスクのある運用商品を選んでいるという傾向も出てきています。通常考えられているのとは逆の現象です。

若いうちは“コツコツ投資”が一番!

コツコツ投資

もちろん、若いうちから経済知識や金融商品にある程度興味を持つことは大切です。世の中にはとんでもない金融商品を無知につけこんで売りつけてくる悪質な業者もたくさんいますし、新聞などに出ている金融商品の広告などでもよく読めば、ひどいものが随分あります。そうしたものに騙されないようにするためにも、正しい知識を身に付けることが大切で、できることなら若いうちから勉強するにこしたことはありません。

ところが、お金に関する勉強というのは、実際にお金を動かさずに机上の論理で勉強してもあまり面白くありませんし、興味も湧きません。そこで、ある程度運用できるお金ができる50代から勉強を始めるというのが現実的なのだろうと思います。若い人は、毎月一定額をコツコツ積み立てて投資をするのが一番です。なぜこれが良いのか?はまた別の機会にお話ししたいと思います。

私も時々、企業で50代の社員のみなさんを前にしてライフプランセミナーの講師をすることがありますが、その時によく「若いうちならともかく、もう定年近くなってこんなこと勉強してもしょうがないだろう」という声を耳にします。しかしながら、決してそんなことはない、と私は思います。若いうちはハイリスク・ハイリターン、歳をとったら安全に、というステレオタイプな発想を捨ててみてはいかがでしょうか。