ヒゲおじさんの独り言

長期投資に対する誤解

投資の話をすると良く言われることに「長期投資はリスクを軽減する」という話があります。確定拠出年金の投資教育でも講師がいつもこの説明をします。これは全く間違っているというわけではありませんが、正しいというわけでもありません。
恐いのは、ただじっと長期に持ってさえいれば儲かると誤解をすることです。今日はこの長期投資について少し考えてみましょう。

“リスクを低減する”ってどういうこと?

長期投資?

もし「リスクを低減する」ということを、「損する可能性が少ない」ととらえているのであれば、「長期投資がリスクを低減する」というのは明らかに間違いです。長期投資でむしろ損をする可能性は高まります。
だって年数が長くなればなるほど、投資先が破綻する可能性だってあるわけですし、想定外のことが起きる確率は上がると考えるのが自然じゃないですか?1年先のことは不透明だけど、50年後のことは確実だ!なんてあり得ないでしょう?

では、ここでいう「リスクの低減」というのは何を指しているのかというと、「単位期間あたりの標準偏差は計測期間を長く取ることで、平均値に近づく」ということを言ってるのです。難しいですね(笑) わかりやすく考えて見ましょう。

期待リターンがマイナスの市場では低温やけどをする!?

相場下落

例えば気温を考えてみましょう。今年のような猛暑の年もあれば冷夏の時もあります。冬も厳冬の年もあれば暖冬の年もあるといった具合に、気温変化の上下は予測できませんし、年によって気温の高低差が大きい年も小さい年もあります。これを10年とか50年とかで考えてみると、その変動幅は平均値に近づくという、当たり前すぎるくらい当たり前のことを言ってるのに過ぎないのです。

でも期間が長くなれば異常気象や大洪水(リーマンショックやバブル)などの大きな災害に直面する可能性も高くなります。今は地球全体が温暖化に向かっていると言われていますが、マーケットも全体的なトレンドとしては期待リターンがプラスの場合とマイナスの場合があります。期待リターンがマイナスのマーケットだと、長期で持てば持つほど損失は大きくなります。低温ヤケドみたいなもので、気付いた時にはダメージが大きくなっているということになりかねません。結果として長期投資によって損失の金額自体は大きくなるということになります。

ところが、期待リターンというのはあくまでも過去の実績をもとにしていますから、いくらプラスの期待リターンのマーケットで運用すべきだとは言ってもこれからのリターンは誰にもわかりません。だからこそ分散投資が必要になるのです。

分散投資が基本

わかった!

長期投資を有効にするためにはあくまでも分散投資と合わせて考えるのが大切だと思っています。例えば国内株式のみで資産運用していた場合、この20年間ではほぼ三分の一と大幅なマイナスになっていますが、一般的に言われている基本的な四つの資産クラス、「国内株式」、「国内債券」、「外国株式」、「外国債券」に均等に投資していた場合は、ほぼ2倍になっています。私は長期投資に意味がないとは思いませんが、決して長期投資が万能とは言えないと思います。あくまでも資産運用の基本は分散投資であるということは忘れてはいけないと思います。

え?ウォーレン・バフェットは集中投資してるじゃないかって?ええ、その通りですね。でもそれはまた別の機会にお話しましょう(笑)